期待の温泉旅の集合時間は朝8時。陸羽東線に乗るべくまずは、仙台駅1番線8:51分発の列車に乗り込む三人。
思い起こせば、桃太郎にとって陸羽東線の旅は過酷な一人旅だった。
降りても人が居ない。次の列車が来るのは数時間後。そんな過酷さが頭をよぎっていた。
今回は温泉に行けるんだと思いながらも。
そして、電車は小牛田駅に着いた。
部長「結構遠いもんだよな。」
桃太郎「まあ、そうですね。陸羽東線はさらに遠い彼方ですが!」
部長「桃太郎は、根に持ってるだろ?陸羽東線の旅を!」
桃太郎「いえ、別に。」
旅人K「鳴子温泉駅行きの電車は、9:53分です。鳴子温泉駅には10:50分に着きますよ。」
桃太郎「旅人Kさんが居なかったら多分喧嘩の旅になってますね!」
旅人K「そのようだね。」
当たり前だが12月も押し迫った頃、駅構内も寒い、寒い。鳴子温泉行きの電車が構内に入るや否やすぐに乗り込む三人でした。
いつもの二人だけの旅とは違い、三人での旅は桃太郎をワクワクさせていた。部長と居ると旅の大変さを訴える事ばかりが頭をよぎっていたからだ。
旅人K「まもなく出発ですね。さー楽しい旅にしましょう!」
旅人Kの存在がその場を明るくしていた事も桃太郎には心地良かったのかもしれない。
周りは雪景色。桃太郎も前回と同じ景色だったが、温泉に行くという心持が有ると景色も綺麗に見えていた。
桃太郎が陸羽東線に乗るのは、実に2年ぶりとなる。前回2004年も冬真っ只中の12月だった。
旅人K「さてもう少しで鳴子温泉駅だよ!」
部長「そうか、一時間も掛かるんだな!結構遠いよな!」
桃太郎「遠いですか?そうですか。桃太郎は、前回この駅に辿り着くのに二日間も掛かりましたよ!」
旅人K「二日間?!」
桃太郎「ええ、各駅停車してくると、一日目は岩出山駅で日没サスペンデッドなんです。」
旅人K「各駅停車?何で?」
桃太郎「うーん、旅人Kさんのその驚きが桃太郎としては凄く当然で、逆に何でそんな旅だったのかと今は疑問がいっぱいですね。ね!部長!まあ、そのお陰で今日は楽しい温泉の旅が出来ているのかもしれませんが。」
部長「ふふ、そうだろ!」
この時の桃太郎は、もうすぐ温泉に入れるんだ!楽しいな!そんな感情で、はしゃいでいたはずです。ところが!次回部長の一言から旅は一変します!
つづく