外は雪が強く、三人は時間ギリギリまで駅舎内で過ごした。
本来なら米坂線がホームに入ってくるのを写真や動画に撮るのだが、それさえも三人は忘れていた。
米坂線のホームに向かった。
目に入ってきたのは、桃太郎でも判断のつく古い車両。
もしかしたら、この手の車両を好むのをマニアというのではないかと思わせる程だった。
しかも、山形駅で見れる新型車両や快速の面影は全くない。
桃太郎「おお。これぞ田舎の車両ですね。」
旅人K「古い!と言いたいのでしょ?実際にそうです。古いんです。それゆえいつまで走っているのか分からないからこそ貴重な車両であり、貴重な風景でも有るんだよ。」
部長「なるほど。」
桃太郎「もう残り少ない車両なんだあ。」
旅人K「そうだね。国鉄時代というだけでももうすでにかなり昔でしょ!何十年戦士なのかって事よ!」
桃太郎「でも大丈夫なんですよね?整備してるから走るんですよね?」
旅人K「二両だけではあるけど、それぞれ気動車だから大丈夫・・・だとは思うけど。」
まさか、このやり取りが現実の話になるとは、この時点での三人は予測もして無かった。
部長「中もなかなかの傷み具合だなあ。」
桃太郎「でも子供の頃の思い出の列車は、こんな感じだったかも。」
部長「そうだな。昔の仙石線とか、東北本線も思い出せば古い車両だったな。」
旅人K「まあまあ、多少うるさいですけど、なかなか乗れない車両だからね。」
街を見たり、構内をウロウロして、疲れた三人は、軽く無言で、くたびれたシートに座るのだった。
米沢に着いてから2時間弱が経っていた。
さていよいよ東北を出る旅に出発!
米坂線がいよいよ出発。
桃太郎の心には、無事に帰れる旅なのかという事だけが心配だった。
遠出をしない桃太郎は不安で余裕が無い時間が進んでいた。
つづく