2006年の年末旅を終え、年末は旅レポートでかなりの時間を費やした。
お正月はゆっくり過ごしたかったからだ。
しかし、2007年も明けて、七草も明けようかという頃、部長から電話が来た。
しかも慌てている様子!!
今年もいやはや慌しい一年になるのを予感させる電話だった。
部長「おー、桃太郎!あけましておめでとう!」
桃太郎「メールでは挨拶しましたが、一応、あけましておめでとうございます。」
部長「挨拶してる場合でも無いんだが、大変な事が分かったぞ!」
あえて言えば、部長の電話が慌しくなかった事なんて無いのだが、今回は真剣に焦ってる感じは伝わってきていた。
桃太郎「ど、どうしたんですか?」
部長「どうしたもこうしたも無い。青春18切符ってのは使用期限が有るんだよ。」
桃太郎「知ってますよ。帰ってきてから色々調べましたから。」
部長「じゃあ、もうすぐ切れるのも分かってるだろ?」
桃太郎「そうですが、それがどうかしたんですか?」
部長「こないだは三人で旅したんだろ。あれは五人分で一枚なんだよ。」
桃太郎「そう言えば!そうでしたね。」
部長「と、言う事で来週また旅に出るからな!」
桃太郎「えっ!本当に?また行くんですか?」
一瞬、前回の旅が頭をよぎった!
また、出掛けられるんだと!
気持ちが明るくなった桃太郎の変化を部長は見逃さない。
部長「あれっ?特に嫌がってない感じだな?」
桃太郎「えっ?そ、そうですか?」
部長「いや、まあ良いんだが、準備しとけよ。」
桃太郎「了解しましたーー!」
部長「語尾が伸びてたな。やっぱり嬉しいんだろ?」
桃太郎「き、気のせいですよ!」
部長「まあ良いや!桃太郎!今年も宜しく!」
桃太郎「宜しくお願いしまーす。」
部長「やっぱり!桃太郎が“まーす”何て、あまり聞いた事無いもんな。ブツブツ。」
部長の疑り深さもかなりのものだが、それ位この時の桃太郎は、ウキウキ気分だったのだ。
前回の旅の帰り道のあの淋しさ。
別に誰かと惜別の別れをしたわけでもないのに。
帰り道のまるで遠足の帰りのような気分が思い出され、また行けるんだと分かって、一気に気分がV字回復したと言えるだろう。
旅を嫌がっていた昔をすっかり忘れていた桃太郎だった。
つづく