花巻駅に着いた三人。
この駅でこの旅最大の目的、マルカンデパートのソフトクリームを食べようと意気揚々。
しかし、部長の心配の種を聞いた二人は驚愕の真実を知る。
桃太郎「じゃあ、部長の問題って何なんですか?」
部長「ここの次の発車時刻は何時だ?」
桃太郎「16:44ですね。」
部長「今何時だよ?」
桃太郎「今は・・・16:00丁度ですね。」
部長「つまりは40分強って事だよな?ここからマルカンデパートは歩いて20分は掛かるんだよ。」
桃太郎「えーーーーー!間に合わないじゃないですか。」
部長「そうなるよな。」
桃太郎「なるほど・・・。だから、さっきから話しながらも早足なんですね。」
部長「早足ではまだまだ時間足りないから、ダッシュするぞ!」
そう言うと、部長は早足からダッシュにシフトチェンジした。
桃太郎と旅人Kもそれに続いた。
道の脇にはまだまだ雪が残る花巻駅前からマルカンデパートまでは直線でも1km実際には1.2kmは有るだろうか。
颯爽と駆け抜けたい三人だが、日頃運動から離れてる三人にはこの距離を歩くのだって容易ではない。
しかし、この時ばかりは時間との勝負!
帰れなくなったら旅は失敗。
三人ともそれだけは駄目なんだと心に決めて、時に歩いて呼吸を整えてまたダッシュを繰り返していく。
もちろん会話をする余裕など全く無かった。
15分後三人は、マルカンデパートに到着、階段をダッシュして駆け上がり食堂へ。
急いでアイスクリームを注文した。
桃太郎「と、とりあえず着きましたね。」
部長「あ、ああ。疲れたな。」
旅人K「疲れたー!」
食堂の雰囲気は、学食のような和やかな雰囲気で、平日だと言うのにお客様が多く、全て家族連れ、地域の集会所的なのだがデパートである。
この空気が桃太郎は大いに気に入ったが、疲れと暑さでゆっくりした気分には成れなかった。
今は1月なのに汗をたっぷりかいた三人がアイスクリームを食べようとしている。
周りの人たちも我々の行動を不思議がっているように見えた。
それでなくても待っているというものは長く感じるが、この時ばかりはいつもよりもっともっと長く感じられた。
桃太郎「何時までに食い終わればよいですかね。」
部長「最低でも4:30には出ないと駄目だろうな。」
現在時間は、16:17。
それでなくても大きいと聞かされてるソフトクリームなのに。
10分で食べられるだろうか。
この後現れるソフトクリームを前に三人はこの旅の最大の人間ドラマに直面する事になる。
つづく