2016年 10月 4(火曜日)第七弾 特別編
こんばんは、桃太郎です。
残念ニュースです。 すでに地元の方は、ご承知でしょうが、花巻のマルカンデパートは閉館となりました。 6月7日の事だったそうです。 このサイトの記事を読んだ方からの投稿で分かりました。 残念ながら、食堂で食べたあの10段巻きのソフトクリームは消滅してしまったようです。 本当に残念です。 建物老朽化によるものという事で、長い間ご苦労様でした、そしてありがとうございました。 同じ味のソフトクリームは、他の店舗で食せるようです。 第七弾気仙沼線から始めようは、初めて遠出した旅でもあり、今でもあの日のドキドキが忘れられません。 もう一度、花巻駅からマルカンデパートまで走りたかったなあ。 特別編にて久しぶりの旅編復活でした。 第七弾 本当に、本当に 完です。 2013年 11月 28(木曜日)第七弾 第十話
今回の本当の旅の目的、マルカンデパートのジャンボソフトクリームに辿り着き、見事に平らげた三人だったが、今度は花巻駅への帰り道で体力の限界が。
あと十数分で電車は出る。 三人は最後の力を振り絞った。 部長「ほら!見えてきたぞ!」 桃太郎「は、はい。」 旅人K「もう、駄目だ。」 部長「もうすぐだから!乗り遅れられないんだから!」 仙台に帰らねばならない。 時間も夕方。 冬の夕方は、日の落ちるのも早く、天気も曇っていて、周りはかなり薄暗くなってきていた。 この暗さが三人の心を不安にさせていた。 無口になっている三人に部長は声を掛けて励ました。 部長「よーし!着いたぞ!まだ間に合うか?」 桃太郎「はあ、はあ。まだ5分有りますね・・・。」 あっという間の40分というか、色々有った40分というか。 急いでる時の時間は本当にあっという間に感じたが、実際には5分も時間が残った。 花巻駅発16:44。 一ノ関行きの列車に乗り込んだ三人。 気がつくと汗びっしょりで、周りから見たら、なんでこの寒い一月に汗びっしょりかいてと思ったはず。 帰宅時間の通勤列車で車内は満員。 幸いにもドア側に立った桃太郎は、冷たく凍っているかのようなドアに顔や体を押し付けた。 満員の車内で二人と離れた桃太郎は暗く少しの明かりしか見えない外をずっと眺めていた。 そして、17:38電車は一ノ関駅に到着。 ホームはすっかり雪が積もっていた。 最後の乗換えとなる。 一ノ関駅も帰宅ラッシュで賑わっていた。 着いた頃には、次の乗り換えのホームには人が並んでいた。 三人各々、ここまで来たんだから、ここまで帰ってきたのだから、焦らずに帰ろうと特に列に並ぶわけでもなく、ホームの傍らに立っていた。 一ノ関駅の滞在時間は17分。 17:55一関駅発の普通電車は桃太郎達三人を乗せて走り出した。 この電車に乗り込んだ時、初めて三人はホッとした。疲れよりも、無事に最後の電車に乗れた。 プラン通りに行動出来た。 そんな事ばかり考えていた。 会話は無かったが、充実感たっぷりだった。 後にこの旅を振返った時に、まだまだ若い、あるいは浅い旅だと思うかもしれないが、この時の三人はもう完全にいっぱいいっぱいだった。 そして19:33定刻通り仙台駅に到着。 部長「お疲れ様!まずは帰ろう!」 三人はお互いの疲労の顔を見て、言葉少なにお互いの帰路に着く。 この後桃太郎は、ますます旅がしたいと考えるようになった。 自分が見たことも無い場所をたくさん見たくなった。 青春18切符が有れば、それが出来る。 桃太郎「本当に疲れたなあ。」 完 2013年 10月 22(火曜日)第七弾 第九話
花巻駅発の電車が16:44に出る。
しかし、三人は駅から1km以上も離れた地元の人なら誰でも知ってるというマルカンデパートに居た。 今回の旅の最大の目的であるアイスクリームをたいらげるためだ。 待ち時間で1,2分だろうか、三人分のソフトクリームが出てきた。 それはまるで喉自慢のマイクのように各々の目の前に聳え立っていた。 三人はお互いの顔を見つめあい笑いを堪えていた。 面白いというより呆れた笑いである。 桃太郎「ぶ、部長でかいですね。」 部長「そ、そうだな。まずは写真に収めておこう。」 旅人K「これ食べきれるかな。」 部長「ど、どちらにしても食べるしかない。」 桃太郎「ぶ、部長!どもってます。」 部長「お、お前もな。」 携帯電話を二つ縦に重ねてもまだ足りないほどの高さのソフトクリームはなかなかお目にかかれない。 普通に売ってるソフトクリームが最高5巻位だろうか。 このソフトクリームは10巻にもなる。 見た目の問題なのだろうが、普通のソフトクリームなら2コは食べれそうな気がする。 しかし、2コが一気にのっていると圧迫感がある。 周りに目をやると遠くの方でお子様連れの家族がソフトクリームに戦いている我々を見てニヤニヤしていた。 桃太郎「冬に三人でこのソフトクリームは、見た目にも滑稽でしょうね。」 部長「だろうな。1月だからな。」 旅人K「とにかく急ぎましょう。」 急いで食べるとミルミル無くなり、周りでニヤニヤ見ていた子供たちもあまりの早さに驚くほどだった。 桃太郎「やれば出来ますね。」 部長「何とかなったな。あとは旅人Kだけだ。」 旅人K「大丈夫だよ。走ったから喉渇いたから。」 マルカンデパートのソフトクリームをたいらげた三人は、急いで食堂を出る。 また階段をひたすら駆け下りていく。 時間はまだ、16:26だった。 あと18分。 外は寒い。しかし、ダッシュしてるので暑い。 しかし、胃の中は冷たい。 花巻駅に向かう三人の体調はこんな感じだ。 「急がなければ大変な事に!」こんな心境で走ることは今までの旅では無かった気がする。 人は本当の窮地に追い込まれれば、不可能も可能に変えると言われるが、まさに今三人はそんな感じで走っていたに違いない。 だからと言って花巻駅はまだまだ見えない。 行きの疲れで、思ったように走れなくなり歩く事も多くなる。 運動不足も有るが、1kmもの道のりをダッシュするという事それ自体が容易ではない。 それでも三人は花巻駅を目指した。 つづく 2013年 9月 22(日曜日)第七弾 第八話
花巻駅に着いた三人。
この駅でこの旅最大の目的、マルカンデパートのソフトクリームを食べようと意気揚々。 しかし、部長の心配の種を聞いた二人は驚愕の真実を知る。 桃太郎「じゃあ、部長の問題って何なんですか?」 部長「ここの次の発車時刻は何時だ?」 桃太郎「16:44ですね。」 部長「今何時だよ?」 桃太郎「今は・・・16:00丁度ですね。」 部長「つまりは40分強って事だよな?ここからマルカンデパートは歩いて20分は掛かるんだよ。」 桃太郎「えーーーーー!間に合わないじゃないですか。」 部長「そうなるよな。」 桃太郎「なるほど・・・。だから、さっきから話しながらも早足なんですね。」 部長「早足ではまだまだ時間足りないから、ダッシュするぞ!」 そう言うと、部長は早足からダッシュにシフトチェンジした。 桃太郎と旅人Kもそれに続いた。 道の脇にはまだまだ雪が残る花巻駅前からマルカンデパートまでは直線でも1km実際には1.2kmは有るだろうか。 颯爽と駆け抜けたい三人だが、日頃運動から離れてる三人にはこの距離を歩くのだって容易ではない。 しかし、この時ばかりは時間との勝負! 帰れなくなったら旅は失敗。 三人ともそれだけは駄目なんだと心に決めて、時に歩いて呼吸を整えてまたダッシュを繰り返していく。 もちろん会話をする余裕など全く無かった。 15分後三人は、マルカンデパートに到着、階段をダッシュして駆け上がり食堂へ。 急いでアイスクリームを注文した。 桃太郎「と、とりあえず着きましたね。」 部長「あ、ああ。疲れたな。」 旅人K「疲れたー!」 食堂の雰囲気は、学食のような和やかな雰囲気で、平日だと言うのにお客様が多く、全て家族連れ、地域の集会所的なのだがデパートである。 この空気が桃太郎は大いに気に入ったが、疲れと暑さでゆっくりした気分には成れなかった。 今は1月なのに汗をたっぷりかいた三人がアイスクリームを食べようとしている。 周りの人たちも我々の行動を不思議がっているように見えた。 それでなくても待っているというものは長く感じるが、この時ばかりはいつもよりもっともっと長く感じられた。 桃太郎「何時までに食い終わればよいですかね。」 部長「最低でも4:30には出ないと駄目だろうな。」 現在時間は、16:17。 それでなくても大きいと聞かされてるソフトクリームなのに。 10分で食べられるだろうか。 この後現れるソフトクリームを前に三人はこの旅の最大の人間ドラマに直面する事になる。 つづく 2013年 7月 21(日曜日)第七弾 第七話
釜石駅に隣接する立ち食いそば屋、こけし亭。時間は一日で一番暖かい時間。
しかし、それでも1月しかも冬の港町。 寒さは身にしみる。確かに立ち食いそばが一番かもしれない。 桃太郎「ここ美味しいですね。」 部長「味もさることながら、香りも良いし、外の寒さがスパイスだな。」 桃太郎「うまい言葉は要りませんよ。」 時間の進むのは早く、食べ終わる頃には発車5分前。三人は慌ててホームへ戻った。 桃太郎「次は、花巻行きですね。快速はまゆり6号です。」 旅人K「この列車は乗り心地良いと思うよ。」 旅人Kの言うとおり、ホームに入ってきた電車はゆったりとしたシートポジションとシートのクッションもフカフカだった。 桃太郎「これって普通料金ですか?」 部長「うーーん。普通なんだな。」 桃太郎「花巻駅到着が15:56だから、1時間40分も乗る路線がこれとは凄いですね。」 桃太郎の言葉通り、発車してしばらくは外を見ていた三人も、雪化粧の山間部に差し掛かる頃にはぐっすりと眠っていた。 そして、15:56花巻駅に到着。 桃太郎「良く寝ましたね。疲れ少し取れましたよ。」 旅人K「本当にいつの間にか寝てたね。」 部長「さあ、ここではゆっくり出来ないんだぞ。」 桃太郎「そうでした。旅の本当の目的忘れてました。」 そう、三人の本当の旅の目的はこの駅に有った。 ここ花巻駅には、マルカンデパートという地元の人なら誰でも知ってるショッピングデパートがある。 そこの最上階の食堂には、これまた皆が知ってるソフトクリームがある。 普通のソフトクリームなら何処にでも売ってる? そうです、普通では無いんです。 では、何が普通じゃないんでしょう。 桃太郎「マルカンデパートのソフトクリームは桃太郎の携帯を縦にしても2個以上。つまりは全高が20cmを超えるソフトクリームなのだ。」 部長「そうだな。所が問題が一点有るんだ。歩きながら説明するから。」 桃太郎「問題?あーーー寒い1月にソフトクリームが大変だと言う事ですか?」 部長「それも有るんだが・・・。」 桃太郎「ソフトクリーム大き過ぎるから全部食べれないかも知れないって事ですか?心配無いですよ!大丈夫ですよ!」 部長「それも何とかなるんだが・・・。」 桃太郎「じゃあ何ですか?」 部長が抱える悩みは、この後二人を驚愕させる。この旅最大の試練が待ち受ける。 つづく 2013年 6月 18(火曜日)第七弾 第六話
盛駅からは、三陸鉄道南リアス線で一路釜石駅へ。
盛駅を12:34に出た三人。 またこの路線は気仙沼線の様にトンネルが多い。 しかも長い。幸い駅周辺ではトンネルではないが、走り出すとまたトンネル。 桃太郎「気仙沼線のようにトンネルかなり多くないですか。」 旅人K「この辺はリアス式海岸だから、崖も多く海側は走れないんだ、崩れないようにトンネルなんだよ。」 桃太郎「路線ごとに複雑なんだなあ。」 13:26電車は釜石駅へ。 ここの景色は忘れられない。 近代製鉄業発祥の地と呼ばれるだけ有る。 工場の煙突や大きな建物があちらこちらに。 そして下を見回せば、川の中に魚が見えている。 こんな光景見たことも無い、素晴らしい風景。まさに工業地帯である。 桃太郎「やっと釜石駅に着きましたね。」 部長「おう、とりあえず駅から出てみようか。」 旅人K「次は、釜石線で、14:17発車です。」 桃太郎「約50分ですか。お昼食べたいです。」 部長「そうだな。海の幸か!」 三人は、釜石駅の外に出た。 とりあえず駅舎を撮る。 釜石駅の看板の上には、歯車の形をした時計が有る。 歯車の枠の時計。製鉄業らしい。 釜石駅の駅前は広く、車も多い。広く景色が見渡せる。 桃太郎「誰かの銅像ですね。」 部長「大島高任の像の様だな。」 大島高任は、明治時代の鉱山学者で、日本鉱業会の初代会長である。 近代製鉄の父と呼ばれてるようですね。 駅舎の隣には、大きな建物がある。 釜石物産センター「シープラザ釜石」である。 まあここに寄らないわけにはいかなそう。 三人は、美味しい物を探しに中に入った。 中は主に、特産品やおみやげ品の販売、イベント広場、観光案内所や会議室などが設けられている。 全体的に釜石の自然・歴史・文化などを紹介していた。 結構見る所が多く、気がつけば発車25分前。 部長「おーーい。時間無いぞ!」 桃太郎「えーーー!海の幸は?さっきのファミリーレストランパブロで食べればよかったじゃないですか?生姜焼き定食780円で安かったのに!」 部長「今更言っても乗り遅れるから無理だろ!おっ!」 部長の目に付いたのは、駅舎に隣接する立ち食いそば屋。 その名も「こけし亭」。美味しそうなニオイがしてくる。 旅人K「そう言えばさっきこの辺散策してた時もこのニオイしてましたね。そばですね。」 部長「寒い冬には最適だろ!やっぱり電車の旅は立ち食いそばだろ!」 桃太郎「そうだけど・・・。でもやっぱり生姜・・・焼き・・・定・・・食が・・・。」 桃太郎の言葉は寒く強い北風に掻き消されていった。 三人はニオイのする方へ誘われていった。 つづく 2013年 4月 14(日曜日)第七弾 第五話
東北の海岸線を走る三陸縦貫線。
気仙沼からは大船渡線が出ている。 大船渡線は、岩手県の一ノ関駅から気仙沼駅を経由し盛駅まで105.7kmの路線である。 今回は気仙沼駅から盛駅まで向かう。 主にこの路線をドラゴンレールと呼ぶが、それは一ノ関駅から盛駅までの線路がドラゴンの形に似ている事から名づけられた。 桃太郎「大船渡線ですか。見知らぬ路線ばかりでワクワクです。」 部長「俺だってあまり詳しくないから、ワクワクではあるよ。」 旅人K「私は初めてでは有りませんが、皆と仲良くお手手繋げるのでワクワクです。」 桃太郎「お手手??ちょっとだけ気持ちが良くないんですが・・・。」 大船渡線は、いきなり山際に舵を取ります。 どんどん山間に向かって進みます。 ほぼ一直線。しかし、山沿いの割には、トンネルは少ないのですが、景色は山間です。 民家は少なく、完全なる銀世界です。 宮城県はそんなに雪が無いのですが、さすが岩手県に入ると気温も雪も凄くなっていく。 電車も陸前高田駅に着く頃には市街地の風景となり、港町が見えてきた。 陸前高田駅を過ぎると一転海が良く見える海岸線を走ります。 トンネルも少なく、海が良く見えます。 地平線まで見る事が出来、初めて三人は旅に浸り始めた。 桃太郎「景色めちゃくちゃ良いですね。」 部長「冬は、景色がはっきり見えるから余計綺麗だな。」 電車はその後も大船渡漁港へ向かう。その景色の綺麗さで、さらに旅の気分は盛り上がった。そして電車は終点の盛駅へ。 桃太郎「定刻通り調度60分で到着です。12:21です。」 部長「そうか。ここもバタバタなんだっけ?」 桃太郎「ハイ。12:34には出てしまいます。」 部長「駅舎の外には出よう!写真位は撮ろう。」 この路線は、平日と言う事も有り、乗客は少なく。高齢者ばかり。 それでも我々と同じく旅をしている一団を発見。 青春18切符巡りだと三人は思った。 盛駅からは、三陸鉄道南リアス線に乗ります。 まだまだ北上します。 前日の雪が溶け出すほどの陽気。 アスファルトの上は、すっかり乾いていた。 三陸鉄道南リアス線は、盛駅から釜石駅までの36kmを結ぶ路線。駅数は11。 桃太郎「さあ、時間が有りませんから二人とも電車に乗ってください。」 旅人K「タバコが吸いたいなあ。」 桃太郎「置いていきますよ!」 旅人Kについてはまだまだ多くは語ってないが、それはおいおい語っていくとして、今分かっている事は彼は愛煙家である。 つづく 2013年 3月 10(日曜日)第七弾 第四話
小牛田駅を出ると列車は、石巻線へ。上涌谷、涌谷を通り前谷地駅へ。
石巻線はここまで。ここから北上するのが気仙沼線となる。 桃太郎「気仙沼線は、この前谷地駅が起点になるんですよね。調べてきました。」 旅人K「その通りだよ。ここからが気仙沼線です。」 気仙沼線は、前谷地を出ると。大崎平野の真ん中を颯爽と駆けていく。 遠くに山々が見えるがほぼ平坦な田園地帯を走り、柳津駅を過ぎると国道45号線と平行して東へ、東へと。 海岸沿いに向かうようになると急に山々の中を通り抜けていく。そして、陸前戸倉駅が近づくと太平洋が見えてくる。 海が近づくと、海岸線なのだから海が…。 と思いがちだが、実は海岸沿いの崖を切り開くように作られた気仙沼線の沿岸沿いはトンネルが多い。 その為、継続的に太平洋を見るのは無理である。 時折開ける視界で海岸線や砂浜が見え、漁に向かう船が見えるが、地平線を見ようとする頃にはまた次のトンネルに入ってしまう。 南三陸町に入り、路線は街中へ入っていく。志津川駅に着く。 しかし、町並みではなく山沿いを走る為ここも長いトンネルで視界は遮られる。 桃太郎「結構トンネル多いですね。海がなかなか見れません。」 旅人K「この気仙沼線は、結構海沿いを走ります。それゆえ線路が岩肌の中を超えていくのでトンネルが多いんだよ。」 気仙沼線は、その後も沢山のトンネルを抜け、ようやく気仙沼駅へ。到着は10:59。 部長「やっと気仙沼駅か。二時間以上掛かったんだな。同じ県内でもここはやはり遠いよ。」 桃太郎「次の大船渡線は、11:21発です。」 部長「そうだな。一応駅舎からでて写真くらい取れるな。駅弁とかも買っておかないと。」 桃太郎「了解です。バタバタしますが、急ぎましょう。」 三人は、気仙沼駅の駅舎の写真を撮る。 駅舎の前に赤いポストが目を引く。さらに看板には周遊切符の広告が。 「W切符、大船渡線」という看板だ。 トタン屋根の駅舎が旅の情緒を感じさせていた。 乗り継ぎの可能な路線は、次の路線までの待ち時間も少ない。 次の電車まで待っていては、何時間も時間をロスしてしまう。 この旅は、この様なバタバタした旅となる。 部長「もう5分前か。本当に忙しい旅だな。……。」 桃太郎「どうしました?部長。黙ってしまって。」 部長「いや、自分で計画した旅なのに、忙しい旅だなって言った自分が可笑しかっただけ。」 桃太郎「部長、やっとまともな考えが出来るようになりましたね。」 次は、大船渡線。岩手県の盛駅まで向かう。 つづく 2013年 2月 18(月曜日)第七弾 第三話
コンセプトも決まり、決意胸に旅に向かう三人。運命の当日の朝を迎えた。
部長「よし集まったか!早速行くぞ!今回は気仙沼線からスタートだ!」 桃太郎「調べては来ましたけど、桃太郎は気仙沼線に乗るの初めてなんですが・・・。」 旅人K「この路線は山も海も見れて景色も良いし、優雅な旅が出来るよ!」 今回は、事前に全てのルートを入念にチェックして、一日どれ位乗れるのか。 何が出来るのかを決めてきているので桃太郎の気分は上り調子。 三人の表情は明るい。 部長「前回の旅と同じ9時前のスタート。ルート的に乗り遅れ等は許されない旅だから各自時間には気をつける事。」 桃太郎「焦りますね。8:51発気仙沼駅行きですよね。」 旅人K「駅に入ってくるのは8:42で6番線に入ってくるよ。」 桃太郎「おー、コアな情報ありがとうございます。もう見えてくるはずですね。」 部長「来たぞ!乗り遅れるな!」 桃太郎「そこまで言うと子供扱いな気がしますよ。」 気仙沼線の電車は、小牛田駅までは東北本線で行き、小牛田駅から前谷地駅までは石巻線で行く。 前谷地駅からが正式な気仙沼線となる。 既に開業から30年近くが経つ通勤路線というより観光列車と言える路線である。 青森県の八戸駅まで続く東北の海岸線を走る三陸縦貫線の一つとなっている。 気仙沼線所属駅に限定した場合は全部で22駅、区間は約73キロ。 桃太郎「部長、気仙沼線の事、wikipediaで調べてきました。」 部長「桃太郎、わざわざ紙で印刷してきたのか?全部調べたのをプリントアウトしてきたみたいだな。」 桃太郎「かなり持ってきましたので、おいおい紹介しますよ!」 前日もなかなか眠れなかった桃太郎。 下調べの中身は名物の食べ物まで及んだほどだった。 路線図や駅の名の由来等もプリントアウトしたのだった。 旅人K「私は旅するときは必ず時刻表を持ってきます。これです。」 そこで、旅人Kがビニール袋から出した物は、駅構内のkioskで販売している時刻表だった。 桃太郎と部長にとってそれは本物の旅には欠かせないアイテムである。もちろん眩しい存在だった。 桃太郎「これがあの伝説の旅のアイテム“時刻表”ですか?」 旅人K「そんなに珍しいものでも…。毎回買って家に溜まってるよ。」 三人の弾む会話が絶好調に達する頃、電車は小牛田駅へ。 部長「小牛田駅かあ。ここは、何度も来るな。」 桃太郎「意図的では無いにせよ、分岐点ですからね。これからも沢山通るんじゃないですか?」 部長「そうかもな。」 列車はノンストップで、東北本線から石巻線に入っていく。 目指す気仙沼線はもうすぐ。 つづく 2013年 2月 1(金曜日)第七弾 第二話
青春18切符は、基本5人1セットのチケットである。
一定の期間内有効の為、例えば三人旅した次の日に二人旅するという事も基本は可能である。 つまり年末に三人旅をした我々には二人分のチケットが残った事になる。 その期間終了の日が近づこうとしていた。 旅の前日、また部長から電話が来た。 部長「チケット余ってるの二人分なんだけど、旅人Kも誘いたいからさ、当日は一人分切符買いながら行くからな!」 桃太郎は、この相変わらずの部長の言い回しの悪さに常にハラハラドキドキしてきた。 旅人Kも誘いたいと言って来たときは、今回は桃太郎休みな!って言われると思ってドキッとした。 桃太郎も楽しみにしている旅だったから。 桃太郎「分かりました。」 部長「ちなみに明日の予定表(工程表)プリントアウトしておいてくれよ!」 桃太郎「了解です。」 実は、前回の旅の後に今後の方針を部長と真剣に話し合った。 部長とこんなに真剣な話をした事が有っただろうかと思うほどだ。 二人としても旅人Kとの出会いから、現実逃避してしまうほどの世界が有るとは旅をするまで気づきもしなかった。 旅を目的として始めたサイトであるにもかかわらず、予算を持たない旅ばかり。 とりあえず出掛けた先に何か無いかと探る日々。 お互いに言葉には出さないまでも、行き詰まりを感じずには居れなかった。 そこで出会った「青春18切符!!」 ここにまさしく今後永く続くであろう本当の目的の一角を見つけた二人。 それを逃すまいと真剣に話し合ったのだ。 そこで、今回の旅は、事前に本格的にルートを練り、乗り継ぎをして、一日でいったいどれ位乗れるのかを試す旅第一弾になる。 「本来の目的は旅。電車代は青春18切符でお安く済むのだから、その浮いた分は、お土産やら美味しい物を食べる事にする」 という最も大事な、いわゆる「コンセプト」が旅の前に決められた。 今後は、旅人Kも含めた三人が、このコンセプトを元に旅をする事になる。 どんな旅になるか不安も有ったが、旅に興味が有った三人なら何とかなうという自信は有った。 生まれも育ちも違う三人は、この後どんな旅に出掛けるのでしょう。 つづく 2013年 1月 12(土曜日)第七弾 第一話
2006年の年末旅を終え、年末は旅レポートでかなりの時間を費やした。
お正月はゆっくり過ごしたかったからだ。 しかし、2007年も明けて、七草も明けようかという頃、部長から電話が来た。 しかも慌てている様子!! 今年もいやはや慌しい一年になるのを予感させる電話だった。 部長「おー、桃太郎!あけましておめでとう!」 桃太郎「メールでは挨拶しましたが、一応、あけましておめでとうございます。」 部長「挨拶してる場合でも無いんだが、大変な事が分かったぞ!」 あえて言えば、部長の電話が慌しくなかった事なんて無いのだが、今回は真剣に焦ってる感じは伝わってきていた。 桃太郎「ど、どうしたんですか?」 部長「どうしたもこうしたも無い。青春18切符ってのは使用期限が有るんだよ。」 桃太郎「知ってますよ。帰ってきてから色々調べましたから。」 部長「じゃあ、もうすぐ切れるのも分かってるだろ?」 桃太郎「そうですが、それがどうかしたんですか?」 部長「こないだは三人で旅したんだろ。あれは五人分で一枚なんだよ。」 桃太郎「そう言えば!そうでしたね。」 部長「と、言う事で来週また旅に出るからな!」 桃太郎「えっ!本当に?また行くんですか?」 一瞬、前回の旅が頭をよぎった! また、出掛けられるんだと! 気持ちが明るくなった桃太郎の変化を部長は見逃さない。 部長「あれっ?特に嫌がってない感じだな?」 桃太郎「えっ?そ、そうですか?」 部長「いや、まあ良いんだが、準備しとけよ。」 桃太郎「了解しましたーー!」 部長「語尾が伸びてたな。やっぱり嬉しいんだろ?」 桃太郎「き、気のせいですよ!」 部長「まあ良いや!桃太郎!今年も宜しく!」 桃太郎「宜しくお願いしまーす。」 部長「やっぱり!桃太郎が“まーす”何て、あまり聞いた事無いもんな。ブツブツ。」 部長の疑り深さもかなりのものだが、それ位この時の桃太郎は、ウキウキ気分だったのだ。 前回の旅の帰り道のあの淋しさ。 別に誰かと惜別の別れをしたわけでもないのに。 帰り道のまるで遠足の帰りのような気分が思い出され、また行けるんだと分かって、一気に気分がV字回復したと言えるだろう。 旅を嫌がっていた昔をすっかり忘れていた桃太郎だった。 つづく
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