電車は、鳴子温泉駅に到着。まだ車内であるにもかかわらず温泉のニオイが漂ってくる。
そう硫黄のニオイだ。桃太郎は思い返していた。
前回(第二弾)の旅はここが終着駅で、ここで部長に終了報告したんだなあと。二年ぶりだな。
旅人K「さて鳴子温泉駅だよー!」
桃太郎「相変わらず硫黄のニオイがしますね~!」
部長「本当の温泉街なんだよね、ここは。」
桃太郎「早く温泉に入りたいですね。」
部長「慌てるなよ。そんなに慌てなくても温泉は逃げないから。」
三人は、雑誌等でもかなり宣伝されている〇の湯さんで温泉に入った。
桃太郎「温泉に入ったらお腹が空きましたね。」
部長「そうだな。温泉街を一通り歩いて美味しそうなお店を探すか。」
桃太郎「そうかあ。まだお昼なんですもんね。午前中から温泉に入って、ゆっくりお昼なんて素晴らしい一日ですね。本当に体が休まりますよ。」
旅人K「ここなんてどうですか?美味しそうな日本蕎麦屋さんですよ。」
桃太郎「風情が有りますね。温泉街にこの店有りって感じがします。」
表向きも温泉街にマッチしたたたずまいの蕎麦屋さんでしばし休憩の三人。温泉に入り、お腹も満たした。そして桃太郎は、次は何をするのか興味が沸いてきた。そして部長がおもむろに席を立った。
部長「じゃあ、お腹も満たされたから店を出ましょうか。」
桃太郎「とっても美味しかったです。」
旅人K「とっても美味しい蕎麦だったね。」
部長「では、ここで大事な話が有ります。午後からの企画の発表です!」
桃太郎「待ってました!でも企画って?そんな大それた事するんですか?温泉と言えば次は卓球ですか?」
桃太郎は、すっかり温泉ムードだった。
朝から抱いていた緊張や前回の苦い旅の記憶も温泉で洗い落としたかのように。
そう、全くの無防備。ここで部長が言う言葉に、緊張感など覚えるはずも無く。その時の部長の真剣な顔の意味も分からないほどだった。無防備だったと、丸腰だったと言う他無い。
部長「何をニヤニヤしてんだ桃太郎?ふふふ、午後の企画は、何と!陸羽東線完全制覇だあー!」
桃太郎「・・・・・・・・・?はっ?か、完全制覇?」
部長「桃太郎よ!俺が楽しく温泉に入り、ゆっくりお昼を食べて、さらに午後からスリッパ卓球して夜までゆっくりするとでも思ったのか?」
不意打ちのような部長の企画発表だった。部長の言ってる意味が本当に理解出来るまで桃太郎はしばし呆然としていた。
つづく