不思議な違和感の正体は時刻表だ!
もう気づいている人もいるんでないかな?
実は仙石線は多賀城駅を過ぎると本数が減り、更に東塩釜駅を過ぎると次の電車までは30分以上の待ち時間、快速電車が中間に入るとなんと50分近い待ち時間となるのだ。
快速電車に乗れば良いって?
次の駅に停まらなくてはならないこの旅では何回も快速に乗れるもんじゃない!
松島海岸駅まで来たが、まだ一度も快速に乗ってない事からみても明らかだ!
そうこの旅は東塩釜駅を越えた所から恐ろしくのんびりした旅となるのだ。前回の旅のスケジュールと比べて見ると、今現在松島海岸駅に到着したのが午前11時過ぎ。この時点で3つ目の駅である。
しかし前回のこの時間には6番目の駅苦竹駅で降りて、次の電車に乗り遅れて周囲を観察している時間である。うーん、先の事を考えたくないような絶望感に駆られる。
過酷?
まだそんな言葉は脳裏をよぎらないが、この言葉を使う時はそんなに遠くはない気がする。改札から出てまずは次の電車を見てみる。
ラッキー!!
次は快速。しかも次の駅にも停まる。ここからは次の電車に乗り遅れるなどというノロマは許されない!しかしここは日本三景松島だ。30分で何が見れるんだろう。車で来た事が有る「オルゴール博物館」まではとても遠くて行けそうにない。そう与えられた時間は30分なんだから!
さて急いで周りを観察しなくては。駅舎は大変こじんまりしていて古い感じ、昔何度も水族館に来たもんだ。宮城県人なら一度は来た事があるはずです。駅前プールまで降りて周りを眺めるとお土産屋さんがたくさん建ち並んでいる。人も多い。日本三景の名に相応しい人だかりだ。しかし仙石線で降りてきたのはほんの数人。皆車で来てるんですよね。少し桟橋の方まで歩いて見る。竜の形をした船。御馴染みの船だ。塩竃港周辺の桟橋までの遊覧船だ。桃太郎も乗ったことが有った。気づけば今日も強風、かなり寒い。海側の散策は終了。さて問題は時間だ。五大堂を見るか、瑞巌寺にお参りするか・・・。迷っても仕方ないから瑞巌寺にした。参道は暗い並木道、晴れてるのに暗い。人と何人かすれ違うがひと気は少なかった。しかし本道は遠い。時計を見た。
あっ!!絶望的な時間だ。今全力で引き返したところで間に合わないだろう。観光名所案内もしないと・・・。うーん。やっぱり戻ろう。観光名所案内も大事だが、まだまだある先の旅を考えるとここでのつまずきは痛い。かなりの不安が襲ってくる、絶望的な遠さの瑞巌寺だった、後悔先に立たず。全力で走った。駅に近づくホームに電車は来ていない。
まだ間に合う。ホームに着いた。間一髪間に合った、んっ?あれ?次の電車は12:02?慌てて時計を見た。俺の時計は4分前。ダイヤが乱れたのか?あれ?お、俺の時計の秒針が止まってる・・・。しかも今数分前に止まったようだ。まだ秒針がピクピク動いている。恐る恐る携帯電話を見た。仙石線は4分前にここを出たようだ。
ふう~。額に汗がにじんでいたけど、海からの冷たい風で気にならなかった。この松島海岸駅でのつまづきが後々どう影響するか心配だ。ポケットの中に有った軟らかくなったブルーベリーガムを噛んで溜め息をついた。心の中でつぶやいた。
「この旅過酷・・・。」
つづく